赤外線透過材料は、可視光線よりも波長が長い赤外線を透過する材料です。これらの材料はさまざまな分野で使用されており、例えば、通信、医療、センシング、イメージング、および科学研究などで利用されています。
この記事では赤外線透過材料に関する解説と透過グラフなどの情報を掲載しています。
約780nm以上の波長の光を赤外線と呼び、780nm~2500nm(2.5μm)を近赤外(NIR:near-nfrared)線、2.5~4μmを中赤外(MIR: mid-infrared)線、4~1000μm程度を遠赤外(FIR:far-infrared)線と呼ぶ電磁波になります。
利用する帯域に応じて、NIR(750nm~1.4μm)、SWIR(1.4~3μm:short-wavelength infrared)、MWIR(3~8μm:mid-wavelength infrared)、LWIR(8~15μm:long-wavelength infrared)、FIR(15-1000μm)と分類されることもあります。
近赤外線は主に監視カメラやリモコン、光通信などに利用されます。シリコン、ゲルマニウム以外の基板は透過率が高く、SiCは可視~近赤外で若干の透過性を示します。
中赤外線は官能基分析(C-H:~3μm、O-H:2.7μmなど)やガス分析(3.0-4.4μm:メタンなど炭化水素系や二酸化炭素)などに利用されます。
4~5µmまでは無水合成/人工水晶/サファイア/シリコンなどの材料の透過性が高いですが、無水でない合成石英基板などはOH基による光吸収により一部の波長で透過性が落ちます。
遠赤外線は熱線領域で、主としてサーマルカメラ、熱センサーや一部のガスや官能基分析(一酸化炭素:~4.6μm、C=O:5.9μm)などに利用されます。シリコンでは1.1μm以上、ゲルマニウムでは1.7μm以上の近赤外から遠赤外線まで幅広く透過しますが、反射損失が大きいので光学用途では使用波長に応じたARコートを施します。
注意点として、ゲルマニウムの透過率は温度に敏感で温度上昇に伴い著しく透過率が減衰します。シリコンでは大気中で表面に酸化膜が形成されることがあり、遠赤外領域での透過率への影響等注意が必要な場合があります。
なお、大気中で利用する場合、空気中の水、酸素や二酸化炭素による吸収のため、光の透過率が高い波長域(大気の窓)がいくつかあります。それ以外の波長域では窒素置換などの調整が必要となります。
